100円のコーラを1000円で売る方法 〜マーケティングが分かる10の物語〜

永井 孝尚 著

テーマは「カスタマー・マイオピニア」から顧客中心主義への復帰です。

「マイオピニア」は「近眼視」の意味。
「カスタマー・マイオピニア」とは、目の前のお客様が言っていることだけを鵜呑みにし、それに全て対応しようとしてしまって、本当にお客様が必要としていることに対応できておらず、長期的に見るとお客様が離れていってしまう状態の事です。

顧客中心主義とは、「顧客が言うことは何でも引き受ける」ということではなく、「顧客の課題に対して、自社ならではの価値を徹底的に考え、提供する」ということです。

この問題をテーマの中心とし、これを解決する方法を10の物語に分けて語っている本です。

「市場志向」と「製品志向」

例えば化粧品会社の場合、自社の事業を「化粧品の製造販売」と考えるのは「製品志向」の考え方。
それに対し「ライフスタイルと自己実現、そして夢を売ること」と考えるのが「市場志向」、つまり、顧客中心の考え方。

「市場志向」を持ち、その場のセールス目線だけではなく、長期的な視点を持つことが重要です。

 

顧客満足の式

顧客満足は、「顧客が感じた価値」から「事前期待値」を引き算したものです。

顧客が言ったことに全て答え、提供しただけでは100−100で結局0。
顧客を満足させるたえには、顧客が言ったことを鵜呑みにするだけではなく、顧客の要望や問題にまっすぐに向き合い、時には顧客の言うことにNOと返し、本当に顧客のためにすることが必要です。

 

市場シェアとコストリーダーシップ

シェアトップの会社は業界の中で一番低コストでサービスを提供できます。
つまり、コストリーダーシップを握っています。

コストリーダーシップにマーケットチャレンジャーが価格勝負をするのは自殺行為。
特に成熟市場では。

 

バリュー・プロポジション

バリュー・プロポジションとは、『顧客が望んでいて』『競合他社が提供できない』『自社が提供できる』価値のことです。

ほとんどの企業は、時間とコストをかけて、他社と同じ事を一生懸命自社でもやろうとしています。
その結果、差別化することができず、際限ない価格競争に突入して買い叩かれ、利益がどんどん少なくなっていきます。

 

ブルー・オーシャンをどうやって作るか

強豪と激しくやりあって消耗するのがレッドオーシャン。
それに対し、強豪がいない新しい市場のことをブルー・オーシャンという。

これをうまく実現したのがキシリトールガム。

キシリトールガムは、『虫歯予防』という新しい要素を加えて新市場を開いた。

 

プロダクトセリングとバリューセリング

バリューセリングとは、どこの会社でも扱えるものそのものを売る形。
それに対しバリューセリングとは、サービス向上を図り、目に見えない価値を売る形。

 

コミュニケーションには、一貫性があることが大切

ターゲットを明確にして、目的を決定する。
そして、目的を実現するためのコミュニケーション方法を設計して、メッセージを伝えるチャネルを選択する。
そのために必要な予算を設定して、さまざまなメディアやイベントといったコミュニケーションミックスに予算を分配する。

昔の『省エネルック』が流行らなかったのは、話題にはなったが、『省エネの国民運動に協力しないさい』というメッセージが共感を得られなかったから。

それに対し『クールビズ』が流行ったのは、『かっこよく、涼しく、温暖化防止』というメッセージがターゲットにしっかり伝わったから。

 

インベーター理論とキャズム理論

新しい商品が世の中に出ると、普及段階によって、その商品を買う顧客のタイプが異なります。

真っ先に買うのが、「インベーダー」と呼ばれる人たちです。
人数はごくわずかですが、革新性を最優先にして買います。

その次に買うのが、「アーリーアダプター」です。
先行ユーザーのことはあまり気にせず、実際に良さそうだったら買います。

その次が「アーリーマジョリティ」。
実際に先行ユーザーが使ってみてよさが証明されたら買います。

それ以外の人たちは、よほど困らないかぎり、買いません。

イノベーターとアーリーアダプターはリスク歓迎型で、全体の16%しかいません。
そして「リスク重視型」は、アーリーマジョリティ以降で84%もいる。

 

売り方としては、「リスク歓迎型」にひととおり売った後に、「リスク重視型」のお客様に売ることが重要です。
この仕組や順番を知らないと、いつまでたっても『リスク重視型』のお客様は買ってくれません。

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