他院と差がつく”歯科医院のホームページ”のつくり方

他院と差がつく"歯科医院のホームページ"のつくり方

株式会社システムプランニング デンタル・インターネット事業部長  佐藤 旬 著

第1章 ウェブサイトを企画する前に目的を明確に決めておく

 

1. 6W2Hを明確にする ~When Where Who What Why How + Whom そして Hou much~

「ウェブサイトをつくって何をしようとするのかお考えですか?」

歯科医院の先生がウェブサイトを作る時、この質問に明確に答えられる方はごく少数です。

ウェブサイトは、言うまでもなくメディアの一種であり、情報伝達手段のひとつの方法です。

何かの最終目的ではありません。

意味のないウェブサイトを作らないためにも、5W1Hに更に2つの要素を加えた、

いつ(When)、どこで(Where)、誰が(Who)、何を(What)、なぜ(Why)、どうやって(How)、そして誰に対し(Whom)、いくらで(How much)という要素を意識してウェブサイトを作成しましょう。

 

 

2. 純粋な広告媒体を目的とするウェブサイトなら

まずは、純粋な広告媒体とすることを考えてみましょう。

先生方それぞれの諸条件により、広告のターゲット層は大きくなるはずです。

まずは、広告戦略のための諸条件をチェックしてみましょう。

 

・先生の診療所はオフィス街にあるのでしょうか?

・それとも住宅地でしょうか?あるいは商業施設の中でしょうか?

・外国語の対応はいかがでしょうか?

・とくに力を入れている診療科目や治療方法は何でしょうか?

・健康保険の扱いはどうなっていますか?

・来院してほしい患者さんの社会的なステータス区分は明確になっていますか?

・障害のある方や介護を必要とする片の受け入れ態勢はいかがでしょうか?

 

例えばオフィスビルのテナントや業種により、また先生のご専門により、さらなるターゲットの絞り込みが可能でしょう。

たとえば「外資アパレル系の20代~30代OL」とか「メーカー系営業職」といった具合です。

 

例えば住宅地の場合、一般論ですが、昼間は未就学時、主婦層、お年寄りがメインで、学校が終わる時間に就学時が加わります。

 

こうしたターゲットが、ウェブで何を調べるのでしょうか?

昼休みの時間や駐車場の場所と台数といった確認事項がメインかもしれませんし、託児設備や保育士の有無といったような情報が、大きなアピールポイントになるかもしれません。

 

 

3. 名刺/リーフレットの延長として

一度はGoogleやYahoo!などの検索サイトで、ご自身の診療所を検索してみたことがあると思います。

その検索結果の中には、先生の医院のサイト以外にも、自治体や歯科医院会等が運営する情報提供サイトの他、口コミサイトなど多数にのぼることと思います。

これらのサイトに記載されている内容は全て正確でしょうか?

診療時間や休診日に変更があった場合、お願いすればすぐに更新してくれるでしょうか?

 

ネット上で自分の歯科医院に関する不正確な情報が独り歩きすることを防ぐために、名刺代わりにウェブサイトを利用するのも用途のひとつです。

 

 

4.求人媒体として

求人媒体としてのウェブサイトは、求人側にとっても求職側にとっても、なくてはならない存在となりました。

 

求職者向けのウェブサイトを、患者さん向けとは別立てで運用されている先生もいます。

別立てというのは、患者さん向けのサイトの片隅に「求人情報」というリンクがあるのではなく、

求人情報にまったく別のウェブサイトを運用するということです。

 

 

5. 診療説明ツールとして

診療室で説明された内容を、その場で完全に理解できる患者さんは、あまり多くありません。

また、実費診療の場合、その場で即決できる患者さんは、そんなに多くはないでしょう。

 

「家に帰ってゆっくり考えたい」

「家に帰って主人と相談したい」

 

そんな場合に効果を発揮するウェブコンテンツです。

症例写真がたくさんある先生は、ご自身の術例をふんだんに使用した、オリジナルの説明ツールをつくることもできます。

 

 

6. 啓蒙活動の場として

口腔衛生に関するさまざまな知識や話題を、わかりやすく書き綴ったコンテンツがメインで、歯科医院のPRは二の次というウェブサイトに出会うことがあります。

こういった内容のコンテンツをご自身のウェブサイトにぶら下げておくことは、歯科医院のPRにとっても意外な力を発揮します。

もちろん、「名刺代わりのウェブサイト」であっても検索結果には掲載されますが、検索サイトのロボットは、

ウェブページの内容を理解して順位を決めます。

診療科目に「インプラント」と一言書かれているだけでは、膨大な検索リストの中で、それが上位にランクされることはありませんし、それを期待すべきでもありません。

 

 

7. 主義・主張の表現の場として

この種のウェブサイトも、「執筆の場」であることに違いはありません。

しかし、その内容は、医療人としての立場から、社保制度に対する提言だったり、厚生行政に対する批判であったりするようなことがメインになります。

「諸君!」

「論座」

といった言語論誌の相次ぐ休刊に、論壇の衰退を憂える声が聞かれる一方、

論壇の場はネット上へ移り、より活性化しているとの見方もあります。

 

 

8. 学術情報の発表の場として

インターネットは、主に大学・研究機関における文献管理/取得を目的として開発されたものです。

論文をはじめとした学術情報をネット上で公開することは、

アカデミックな場において古くからごく一般的に行われてきたことであり、

今後も形を変えつつ、その流れは続いていくはずです。

 

多くの先生がご自身のウェブサイトの片隅に、執筆した論文を掲載されています。

患者さんがそうしたコンテンツにアクセスして閲覧することはあまりないと思いますが、

そうしたコンテンツがウェブサイトの片隅にあること自体が、

患者さんに対してひとつのPRとなることは明白です。

また、学術情報や論文の掲載でゃ、SEOとしてもきわめて有効に機能します。

 

 

9. 物品販売を行うために

多くの歯科医院では、各種口腔ケア用品の販売を行っていますが、

それらをネット上でも販売したいとい要望があります。

実際に、そうした機能を備えた歯科医院のウェブサイトを見かけることもあります。

 

しかし、

「ネット通販は簡単にできる」

という大きな誤解をされている方は注意してください。

実際は、トップページのセールスコピーを並べて、メールマガジンを書いて・・・と、片手間としてやるには非常に大変です。

また、システムの運用にもコストが掛かるため、月に歯ブラシが数十本売れたところで、

利益など出るはずもないのです。

 

 

10. 趣味・道楽として

稀にですが、歯科医療に関することなどにほとんど触れることもなく、

ただひたすら自分の趣味・道楽の世界を、ウェブサイト上に展開されている先生がおられます。

「歯科医院は行きたくないところ、恐ろしいところ」

という、患者さんのイメージを考えると、先生のなかなかうかがえないバックグラウンドを、

こうした形で露出することは、歯科医院のPRとして一定の効果が期待できることです。

あまり行きたくないところなら、せめて同じ趣味を持つ、

馬が合いそうな先生に診てもらいたい、

そんな素朴な気持ちからのことでしょうか。

 

11.その他の目的でつくるウェブサイト

これまで実際に相談を受けたことのある、それ以外の目的の事例です。

 

・自分のインプラントのオペをネットで動画配信したい

・待合室の混雑具合をライブカメラで中継したい

・診察予約システムをウェブページ上に開設したい

・歯科医師向けのコンテンツをつくって、業界各社からの広告収入を得たい

・患者さんに写メールで撮った歯の写真を送ってもらうサイトがほしい

・問診票システムを稼働させたい

・治療料金の見積もりシステムを稼働させたい

 

・・・などなどがあります。

現実に多くの相談があり、簡単にできそうで、なかなか実現しないのが診察予約システムです。

予約受付業務の多くは、診察終了後に受付窓口で行われているはずです。

電話での診察予約も日々あるはずです。

こうした業務を全てウェブ上の台帳をベースに行い、

リアルタイムにそのウェブ上の台帳を更新できるかどうか・・・

などということを考えると、全自動のシステムはかなり大きな規模のクリニックでないと、

実現は難しいようです。

患者さんからウェブ上でうかがった第1希望から第3希望くらいまでの日時を、

スタッフが受け取って判断した上で、

改めてメールなどで患者さんに返答する、

そんな半自動のほうが、中小規模の歯科医院では現実的なのかもしれません。

 

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