書名:ザ・コピーライティング 心の琴線にふれる言葉の法則
著:ジョン・ケープルズ 監訳:神田昌典 訳:斉藤慎子、依田卓巳
第2章 広告は見出しが命
○見出しを先に書いてはいけない
○効果的な見出し3パターン
〔1〕特になること
例:さらに50ドルの昇給、55歳で退職
〔2〕新着情報
例:フォード・トラックの新機能
〔3〕好奇心
例:行方不明:3万5,000ドル
第3章 効く見出しはこう書く
見出しを書く5つのルール
〔1〕何よりもまず、見出しには「得になる」ものを必ず盛り込むこと。相手のほしいものがここにある、と見出しで知らせるのだ。
〔2〕新製品や従来製品でも、新たな使い方などの「新情報」があれば、それを見出しで大々的に伝える。
〔3〕「好奇心」を刺激するだけで終わらないようにする。「好奇心」を、「新情報」や「得になる」と組み合わせれば強力な見出しになりやすいが、「好奇心」だけで十分強力になることはめったにない。
〔4〕暗い面、マイナス面を描くことはなるべく避ける。明るい面、プラス面から見て書くこと。
〔5〕手っ取り早く簡単に、ほしいものが手に入る方法があることを見出しで知らせる。
見出しを書くヒント 効果は実証済み!13のアドバイス
〔1〕見出しを書くときは普通に考えて、自分だったらなぜこの商品を買うのだろうと問いかけてみること。そして、その購買理由を短い言葉で表現する。それが見出しになる。
〔2〕見出しを短くしようとしすぎないこと。見出しが簡潔なのはすばらしいことかもしれないが、他のすべてを犠牲にしてまで簡潔にすることはない。言いたいことを伝える方が重要なのだ。
〔3〕「生気のない」見出しを書かないように。大昔の青銅碑に刻んであるような、あるいは厳粛な会議での会長のご発言かと思うような見出しのことだ。例:異常な時代、品質の価値、真の楽観主義
〔4〕「お利口すぎる」見出しも避ける。商品を買いたいと思わせる代わりに、相手に「うまい!」と言わせてしまうような見出しだ。例:このサマーのサマリーをお読みください。
〔5〕次の様な見出しもダメ・・・。 →「率直な人に率直な事実 もし、こんなときは・・・」
〔6〕読んでもらえるように相手を説得する方法の1つは、コピーに役立つ情報があることを見出しで伝えること。例:「お金の貯まらない夫を持つ奥様へのアドバイス」、「字がうまくなる方法」
〔7〕1番重要なポイント(キーワード)を見出しに入れる。
〔8〕「好奇心」だけで十分効果的な見出しができることはめったにないが、「得になる」型の見出しに「好奇心」を盛り込むのはいい考えだ。例:「こうしてハゲにならずに済みました」→「こんなちょっと変わったことでハゲにならずに済みました」、「1日200ドル稼ごう」→「1日200ドル稼げるとしたら、切手代を支払ってもいいと思いますか?」
〔9〕ただ事実を伝えるだけの見出しでは、相手にコピーを読ませるには効果的ではない。先を読まなくてもコピーに何が書いてあるかわかってしまうからだ。例:「歯が白くないと、笑顔の魅力も半減」、「ボールほど快調に進むものはない」
〔10〕広告の1番下にある広告主のロゴも、見出しの一部とみなすことができる。見出しを読んだ後相手は無意識に目をロゴに落として、どこの会社の広告かを確認するものだ。例:「お金の心配はもうおしまい ・・・・・・・ニューヨーク・ビジネストレーニング研究所」「お金の心配はもうおしまい ・・・・・・・生命保険会社」「お金の心配はもうおしまい ・・・・・・・ファースト・ナショナル・バンク」
〔11〕ビジュアルも見出しを補い、言いたいことをはっきりさせるためによく使われる。例えば見出しが「肥満男性」のものに、「太った男性が原料ベルトでお腹を凹ませている」画像を載せる。
〔12〕「わかりにくい」見出しを避ける。考えなければ理解できなし、一目で意味がわからない見出しはダメ。
〔13〕見出しのない広告を打ってはいけない。
長い見出しの処理の仕方
見出しの中でも強調する単語を太字にしたりサイズを大きくするなどする。その際、「この秘訣で」や「最高品質の」などの修飾語を目立たせず、「損害保険」や「おいしいコーヒー」など要点を持った単語を目立たす。
第5章 35の見出しの型 効果は検証済み
「新情報」見出し 8つの型
〔型1〕見出しを「ご紹介」で始める。例:「ご紹介します、家庭用フリース」、「ご紹介、特別なシーズンのとっておきギフト」
〔型2〕見出しを「発表」で始める。例:「発表します。最新型の車」、「発表。新しい辞書が出ました」、「家をお持ちのみなさまへ重大発表」
〔型3〕「発表」のニュアンスがある言葉を使う。例:「ついに登場、刺激的な新しいスタイルはレトロ感がまったくありません」、「ご覧ください、背丈90センチの新しいバレリーナ人形」
新製品や従来製品の改良版を市場に出すときには、そのことを必ず告知すること。人は「発表」に関心がある。
〔型4〕見出しを「新」で始める。例:「新登場、レモンブロッサム・パイ」、「新製品、プログレッソのチキン100%スープ」
〔型5〕見出しを「いま、さあ、ついに」で始める。これは「新」という言葉をさんざん使ったら、引き続き広告に「新情報」性を加えることができる。例:「いまなら、出版を目指した2通りの書き方が学べます」、「ついにビデオで登場」、「ついに出た勉強法!高校卒業資格試験合格のための新シリーズ」
〔型6〕見出しを「とうとう、いよいよ」で始める。例:「とうとう出ました!「魔法の頭脳」を持つスチーム・アイロン」、「いよいよ登場!このわかりやすい道路地図1冊でヨーロッパ中を車で移動できます」、「風邪の特効薬、とうとう見つかったか?」
〔型7〕見出しに日付や年を入れる。例:「6月1日スタート…マイアミ・ビルトモア・ホテルのサマーセール」、「おしゃれ手袋の7月セール」、「この夏、人に差をつける方法」
〔型8〕見出しをニュースネタ風にする。例:「パリでお気に入りのワインが入荷しました」、「発見 髪が生えてくるすばらしい方法」
価格に関する見出し 5つの型
宣伝効果テストでわかっているのは、何を売る場合でも1番重要な要素の1つは「価格」だということ。また、注目調査で、人は広告の大きな文字のコピーでさえ飛ばして下に目をやり、小さな文字で書かれた価格をまず読むことが多いこともわかっている。
〔型9〕価格を見出しのメインにする。
「全マホガニー仕上げの格調高いダイニングセット、749ドル」
「5ドルで100万ドルの気分を味わいませんか?」
〔型10〕割引価格をメインにする
「コーヒー大特価、2ドル引き」
「半額以下、ステンレス製キッチンセット」
〔型11〕特価品をメインにする
「毛皮の下取り価格が2倍に」
「半額で提供・・・8か月で8ドル」
〔型12〕支払いの簡単さをメインにする
宣伝効果テストによると、商品が分割払いで購入できることを示した方が、そうしない場合よりもたくさん売れることがわかっている。
「いますぐご注文ください。1月10日までお支払いは不要です。」
「毎週たった2ドルでこの新型カセットプレーヤーが手に入ります。」
〔型13〕無料提供をメインにする
無料提供の仕方には何通りかある。
(1)無料お試し
(2)試供品やサービスのお試し
(3)製品パンフレット
(4)商品購入につける景品
(5)以上4つの任意の組み合わせ
「3枚組レコードアルバムの10日間無料試聴」
「無料トライアルレッスン」
情報やエピソードを提供する見出し 2つの型
〔型14〕役に立つ情報を提供する
普通、コピーは次の3つのパートで成り立っている。
パート1:セールストークなしの情報
パート2:セールストークを織り交ぜた情報
パート3:セールストークのみ
「ミニスカートだけが若返る方法ではありません」
「こんな言葉遣いの間違いをしていませんか?」
〔型15〕「エピソード」を伝える
この手法には、次の様な利点がある。
利点1:ふさわしいエピソードはこちらのメッセージがしっかりと伝わる。
利点2:ふさわしいエピソードはこちらのメッセージに説得力が加わる。
「こうして私はひと晩で記憶力をアップしました」
「私がピアノの前に座るとみんなが笑いました」
キーワードを使う見出し 10の型
〔型16〕見出しを「○○する方法」とする
「お金の心配をなくす方法」
「ご家庭にピッタリのホームシアターシステムの選び方」
〔型17〕見出しを「どうやって、このように、どうして」とする
「こうして私は1日4時間の仕事で生計を立てています」
「どうしてこのすばらしい自然ガイドブックがたったの○○なのか」
〔型18〕見出しに「理由、なぜ」を入れる
「このビタミン類でもっと元気になる理由」
「なぜ一部の人たちだけが株で必ず儲けているのか」
〔型19〕見出しに「どの、どれ」を入れる
この見出しには強みが2つある。
(1)興味をそそる。自分自身への強い関心にアピールする。読んだ人は自分の抱えている症状がこのなかにあるかどうか知りたくなる。
(2)たくさんの症状を入れることで、ターゲットを幅広くカバーするコピーを書くことができる。
「どのバッテリーが自分の車にピッタリか」
「この様な神経衰弱の症状はありませんか?」
〔型20〕見出しに「他に(誰か)」を入れる
「他に試したい方は?もっと白く洗い上げるのに苦労はいりません」
「髪がはねてお困りの方は他にいませんか?」
〔型21〕見出しに「求む」を入れる
「求む、健全な市民若干名」(長年使われいる、アメリカ海兵隊の新兵募集のキャッチフレーズ)
「求む。高報酬で、不動産スペシャリストとして働きませんか」
〔型22〕見出しを「これ、この」で始める
「これ、この」で始まる見出しには、2つの強みがある。
強み1:見出しが具体的になる
強み2:宣伝商品に注目がいく。
「この贅沢さはまるで1980年代にあと戻りしたかのよう。ただし今回はお求めやすい価格です。」(車)
「これはアメリカで1番静かな食器洗浄機」
〔型23〕見出しに理由の「〜だから」を入れる
「ペットの快適な毎日はあなたにとって大切なことだから」(キャットフード)
「ノミがまた戻ってくるから」
〔型24〕見出しに仮定の「(もし)〜なら、(もし)〜しても」を入れる
「もし資金管理賞があったら、当社が受賞スピーチをしているでしょう」
「もし成長と安定がお望みでしたら、当社がお力になります」
〔型25〕見出しに「アドバイス」という言葉を入れる
「ビジネスを始めようとしている若い人たちへのアドバイス」
「夫へのアドバイス」
それぞれ他のキーワードのアドバイス
「言葉遣いによくある間違い」
「電気の原理」
「すべての女の子が知っておくべきこと」
「スキンケアについて知っておくべき事実」
その他の見出し 10の型
〔型26〕見出しを証言スタイルにする
実際の証言を見出しにしてもいいし、証言風の見出しにしてもいい。
「私がどれほど本気で減量したか聞いてください」
「式のあとで私が泣いた理由」
「私は破産寸前でした。そこで、『ウォールストリート・ジャーナル』紙を読み始めたのです」
「タクラマカン砂漠で数ヶ月すごして、この保護機能に絶大な信頼を置くようになりました。私たちだけじゃなくラクダも大喜びでした」(アパレル)
「このクリーミーなチョコレートプディングにどれだけ脂肪分が含まれているかわかりますか?ゼロなんです」(語り手の写真掲載)
〔型27〕読み手を試す質問をする
「あなたの頭皮は爪でかいても大丈夫ですか?」
「キッチンをお客様に見られても大丈夫ですか?」
「この記憶力テストに合格できますか?」
〔型28〕1ワード見出しにする
この型が効果的なのは、その単語にきちんと意味があり、適切なターゲットが識別できる場合だ。
この型の強みは、1ワードだから文字を大きくできるため、小さな広告面でも見出しを目立たせることができる点にある。
例:ヘルニア、セックス、会計、法律、航空業、特許、神経、ダイヤモンド
〔型29〕宣伝商品やサービスについて中身のあるメッセージが伝わるような1ワードが見つからない場合もある。
そんなときは、2ワードの見出しにすればいい。
例:FREE MONEY(無料マネー)、BE STORONG(丈夫になろう)、ITCHT SCALP(頭のかゆみ)
〔型30〕3ワード見出しにする
例:BURN FAT FASTER(もっと早く脂肪燃焼)、DOUBLE BONUS SALE(ダブルボーナスセール)
〔型31〕いまはまだ買わないように伝える
「お庭の芝生をご注文される前に、まずこれをお読みください」
「自動車保険に入る前に、この実例をお読みください」
〔型32〕広告主から相手に直接語りかける
「当社がこの新タイプのパイプを5ドルでご提供する理由」
「みんなにバカだと思われました。生きたままのメーン・ロブスターを海から1,800マイルも離れた場所に送るんですから」
〔型33〕特定の個人やグループに呼びかける
このタイプの見出しには重要な働きが2つある。
まず、ふさわしい見込み客を絞り込む。
そして、相手がいつも考えている特定の問題の解決策を提供する。
〔型34〕見出しを質問形式にする
「いつか木はなくなってしまうのでしょうか?」(林業)
「この写真には26種類のアムウェイ製品があるのがわかりますか?」
「年収5万ドル稼ぎたいとお考えの、年収2万5,000ドルの方へ」
「ガソリン代を節約したいドライバーのみなさん」
〔型35〕ベネフィットを事実と数字で伝える
「(商品名)なら通常のランニングマシンよりカロリー消費が最大で79%多くなります」
「(車のモデル名)より、5,000ドル安い価格で、お金では買えないほどの機能が手に入ります」
第6章 どんぴしゃりの訴求ポイントを見つけるには?
うまくいった広告はすべて、次のそれぞれに基づいたアピールになっている。
1)セックス、セックスアピール
そもそもの肉体的行為だけでなく、愛情、好意、友情も含む。
2)欲
物であれ心であれ、お金で買えるあらゆるもの。
3)不安
いまあるものを失う不安、手にいれたいものが得られない不安、あるいはその両方。
4)義務感、自尊心、プロ意識
自分が得することではなく、自分の仕事を通じて接する相手にとって1番いいこと、たとえば、症状に合った薬、耐久性抜群の下水管、最も性能のいい消防車など。
効果的な訴求ポイントの例
○収入を増やす
○お金を節約する
○退職後の生活の安心
○もっと健康に
○医療対策
○老後の安心
○仕事やビジネスで成功する
○名声
○喜び
○家事をもっと楽に
○もっと余暇を
○快適さ
○心配から解放される
見出しの分析から学ぶべきこと
広告の分析から、次の結論が示された。
1)訴求ポイントは広告制作のベースとしてきわめて重要である。
2)効果を挙げるためには、効果的な訴求ポイントを見出しに入れること。
コピーの中で訴求するだけでは不十分。
効果の低かった広告には、コピー中に訴求ポイントが入っているものもあった。
広告テストするには、まず広告の成果(返信数や売り上げ)で順番に並べ、広告の高かった特徴を調べる。
次のようなチェックリストを参考に広告ごとにすべて記録すること
○見出し、小見出し
訴求ポイント、言い回し、文字の大きさ、位置
○ビジュアル
テーマ、大きさ、種類、位置
○レイアウトや色使い
成功例と失敗例の全般的な違いすべて
○コピー
分量、書体とポイント(文字の大きさ)
○オファー
注文や購入方法も含む
○サイズ
掲載ページに対する広告サイズの割合
○媒体
媒体名、種類、日刊/週刊/月刊等
○位置
掲載媒体中のどのあたりに掲載されたか
「具体的な訴求」と「一般論の訴求」
効果的な訴求ポイントを見つけて活用するテクニックは、次の4つの基本ステップにまとめられる。
1)単なる「感覚」ではなく、根拠のある訴求ポイントを選ぶ。
2)異なる訴求ポイントをいろいろテストしてみる。
3)結果分析に基づいて、1番いい訴求ポイントを決める。
4)これと決めた訴求ポイントをメインにして、新聞・雑誌広告、テレビ・ラジオコマーシャル、ダイレクトメール、屋外看板など、ありとあらゆる媒体に活用する。
第7章 「テスト済み広告」と「テストしない広告」
1)広告をテストすりう何らかの方法を見つけること。
これで、効果的な広告とそうでない広告が確実にわかる。
2)広告キャンペーンのアイディアを探しているなら、テストしていない広告によく見られる、手がこんだデザインやしゃれた言葉をマネしてはいけない。
そういう広告は宣伝効果を測りようがない。
そうではなく、宣伝効果が日々測定されているもの、つまり、通販の広告やダイレクトレスポンス広告、ダイレクトマーケティング広告、デパートの広告を見習い、その手法を取り入れること。
得に注目すべきは、何度も繰り返し使われているテスト済みの広告だ。
こういう広告こそ、利益を上げて成功している広告であり、こういう広告こそ、うまくいくヒントがあるのだ。
第8章 熱意を込めてコピーを書く方法
シズル感のあるコピーで熱を注ぎ込む
批評する人それぞれに、コピーに対する自分なりの考えがある。
全員を満足させようとするのは、1本の矢でいくつもの的を射抜こうとするようなものだ。
熱意のあるコピーを書こうと思うなら、こうした批評家たちのことは頭から完全に追い出すこと。
無視し、存在を忘れるのだ。
自分の書きたいように書く。
それが効果的なコピーを書く方法だ。
それと、どんどん書くこと。
勢いよく、シズル感のあるコピーを書こう。
暴走する機関車並みの力をすべてコピーに注ぎ込むのだ。
あとで冷静に読み返して、批評する人たちに反対されそうな箇所を削ればいい。
そうすれば、イキイキとしてかつOKの出るコピーができる。
他の人の好みや先入観を最優先して書けば、小学生の作文みたいにお行儀のいいコピーにはなるかもしれない。
しかし、コピーとしては完全に死んでいる。
他にもある精神衛生上の妨げを克服する 自分で自分をその気にさせる!
熱意あふれるコピーを書くことは、他にも2つある精神衛生上の障害克服に役立つ。
1)宣伝対象商品について言ってはいけないこと。
2)宣伝上言わなければいけないこと。
この2つを忘れてしまうこと。
頭のなかに「これは絶対に言っちゃだめ」とか「これはどうしても言わなくちゃ」と繰り糸をはり巡らせたままで机に向かっても、いいコピーは書けない。
自己暗示を行うのだ。
「スミス社の歯磨き粉は世界一だ、こんな歯磨き粉は他にはない」と自分に言い聞かせる。
この暗示は短時間ですばらしい効果を生み出す。
第9章 コピーの出だしはこう書く
「リーダーズ・ダイジェスト」に学ぶ6つの型
わかったのは、効果的な同じ方が何度も繰り返されている、ということだった。
そうした型の中には、記事だけでなく広告のコピーを書くときにもあてはまるものがある。
それが以下だ。
1)ハッとすること
記事の多くが「ハッとすること」とでも言える文で始まっている。
ハッとすることとはなにか。
意表をつくような話や奇抜な仕掛けのことで、これで相手の頭の中にありがちな、つまらない、という壁を打ち破るのだ。
例)
じっと座ってこの記事を読んでいる最中にも、あなたの体の中はめまぐるしい活動をしている。
人間の舌を喜ばせることがここのところ、世界最大産業のおもな関心ごとになっている。
2)ギョッとすること
例)
フランス人が酔っぱらっている姿はあまり目にしないが、フランスはアルコール依存症の率が世界でもっとも高い。
今朝全米で、機能の朝よりさらに8,000人多くの赤ちゃんが生まれた。
3)ニュースネタ
例)
10億ドル産業王国が突如、ミシシッピ川両岸に出現した。
心温まる興味深い出来事が、アメリカのこと大学キャンパス内で最近起こっている。
4)予告
雑誌記事の導入によく使われるのが、その記事の内容を簡単に予告する文だ。
例)
15年ほど前まで、マメコガネを食い止める方法はなさそうだと考えられていた。
5)引用
例)
ダニエル・ウェブスターは言った。
「財産と能力をすべて奪われ、1つだけ残せるとしたら、私は言葉の能力をとる。それさえあれば、他のすべては取り戻すことができるからだ。」
6)エピソード
なんと言っても一番興味深い発見は、記事の半分以上が「エピソード」で始まっていることだ。
例)
昨秋のある晩、ニューヨークを訪れていたある人が、5番街南にある教会に灯がともっているのを見つけた。
時刻は夜中の1時、場所はシカゴ、サウス・サイドの警察署。
『リーダーズ・ダイジェスト』の記事の様々な冒頭文について、注目すべき点がいくつかある。
1)事実がたくさん詰まっている。
2)簡潔な文体。
3)具体的である。
4)形容詞が少ない。
5)好奇心をかき立てる。
出だしを書くもう1つの型
こうした方法のどれも自分が書く広告に当てはまらない、ちょうどいいエピソードやハッとしたことが見つけられない、という場合でも使える1番簡単な型がある。
見出しで書いたアイデアをそのまま続けて、コピーの冒頭を書くのだ。
例)
『こ音』
こ音はすぐに治せます。
2.95ドルお送りください。
こ音に関する全288ページの布装本をお送りします。
20年間言葉に詰まっていた私がどうやって治したかを書いた本です。
見出しでせっかく相手をつかんでも、もしコピーの冒頭でまったく別のことを言っていたら、その相手を失ってしまう。
通販での経験から得た、効果的な冒頭部を書く3つの簡単なルールを紹介しよう。
1)短くする。冒頭部分が長いと、読む木が失せる。
2)見出しで言った内容を続ける。
3)その商品を買って得られる1番の、あるいは複数の重要なベネフィットを短い言葉で伝える。
1にも2にもベネフィットだ!
何が得られるのが、その商品は何をしてくれるのか。
それこそ人々が知りたいことであり、広告を読む理由なのだ。
第10章 効くコピーはこう書く
お薦めのコピー13タイプ
1)単刀直入なコピー
これは、クライアントからの情報をシンプルかつ論理的に説明するもの。
凝った表現やレトリックがまったくない。
事実をできるだけわかりやすく言うだけだ。
例)
『お名前入りレターセット』
上質の特別サイズ便箋100枚と封筒100枚に、3行の住所をご指定の位置に印刷します。
丁寧に梱包してご自宅にお届けします。
3ドルを前払いください。
2)エピソードコピー
このタイプは人の興味をそそるエピソードではじまる。
その後に、教訓「だからこの広告の商品を買いなさい。」と来るわけだ。
3)「あなたと私」コピー
「あなたと私」コピーは、製造者が消費者に直接話しかけるスタイル。
たいてい、打ちとけた気さくな調子で、ちょうど優秀なセールスマンがお客に話しかけるような感じだ。
4)想像力を膨らませるコピー
このタイプのコピーは、想像力に富んだ言葉で説明して相手の関心を高める。
5)事実そのものずばりコピー
小売店の広告の、数多くの成功例と失敗例を比べてみた。
目的は、どのようなコピーが小売りで最大効果を挙げるかを見つけるためだ。
結論は、その商品に関して1場ン多くの事実を伝えているコピーが、最大の効果を挙げるということ。
簡単に言えば、事実を伝えれば伝えるほど商品が売れる、ということだ。
6)事実+独自スタイルのコピー
湯名な小説家の独自のスタイルをただ真似ているだけで、売り文句のないコピーではほどんど意味がない。
一方、売り文句に独自スタイルが加わったコピーなら悪くない。
得に、高級商品を宣伝するときはそうだ。
7)ありのままを伝えるコピー
ときには、広告の信頼性をコピーで高めることも可能だ。
売り込む物の長所だけでなく、短所があることも素直に認める方法がそうだ。
8)ベタ褒めコピー
このタイプのコピーでは、思い切って、できるだけ大声で自画自賛すること。
この種の広告が効果的なのは、裏付けとなる事実がある場合だ。
9)署名入りコピー
ときにメーカー自身が、自社製品やサービスについて署名入りでコメントを出すことがある。
ある有名な自動車メーカーがこの方法で新車を発表した。
「ワールド・マガジン」誌はこのタイプの広告で広告スペース料の4倍近く利益をもたらした。
この広告がうまくいった理由はいくつかある。
1)新聞記事のように見える。
2)有名な編集者、ノーマン・カズンズの署名が入っている。
3)「あなたと私」スタイルで友人宛の手紙のように書かれている。
4)見出しの「ニューヨーク・タイムズ」が注目を集める。
10)書籍タイトル風コピー
長年、書籍の通販が試行錯誤を繰り返して、雑誌や新聞の読者が1番関心を持つタイトルを見つけてきた。
売れ行きのよくないタイトルは広告から削除され、たくさん売れているタイトルは引き続き掲載される。
11)ティーザーコピー
このコピーは相手への挑戦だ。
売り込むのではなく、一見、やめておけと言わんばかりだ。
この方法の効果は、その意外性にありそうだ。
12)記事広告コピー
このタイプは、クライアントが新聞んか雑誌の広告スペースを会、そのページを通常の記事のように構成するもの。
見出し、本文、写真、それに普通の広告が小さく1点はいっていることも良くある。
13)競合比較コピー
他社と比べるもの。
身長に使うべきコピー3タイプ
疑問の余地ありの3タイプだ。
使うなら用心した方がいい。
14)名刺コピー
15)お利口コピー
16)ユーモラスなコピー
避けるべきコピー3タイプ
次の3タイプは絶対にお薦めしない。
17)詩的なコピー
18)きざなコピー
19)信じてもらえないコピー
第11章 コピーの売り込み効果を高める20の方法
1.現在形で相手を中心にして書く
よほどの反対理由がない限り、コピーは現在形で相手本位に書くべきだ。
例えば、
「きちんとした身なりだと男性自身が感じるのは、ブルックスブラザーズのスーツを着ているとき」
ではなく、
「きちんとした身なりだとご自分でお感じになるのは、ブルックスブラザーズのスーツを着ている時」
とする。
「人々が安心するのは、グットイヤーのタイヤを使っている時」
ではなく、
「安心をお感じになるのは、グッドイヤーのタイヤをお使いの時」
と書こう。
どこまでも相手本位で書くこと。
2.小見出しをうまく使う
ほとんどの通販が、全面広告には必ず3つ以上の小見出しを入れている。
これにはおもな理由が2つある。
1)小見出しを入れると、広告天体をじっくりと読む暇がなくてざっとしか見ない人にも、内容が簡単に伝えられる。
2)小見出しがなければ読んでもらえなかったかもしれないコピーを読ませる効果がある。
3.ビジュアルの下にキャプションを入れる
新聞記事は、ビジュアルの下に必ずキャプションが入っている。
キャプションは注目率が高いのだ。
デビッド・オグルヴィが、著書『「売る」広告』のなかでこう語っている。
「コピーを読む人より、ビジュアルの下のキャプションを読む人の方が多い。
だから、キャプションなしのビジュアルを入れてはいけない。
キャプションにはブランド名や売り物、ベネフィットを入れること」
4.わかりやすい表現を使う
ロイ・ダースティンも著書『ジス・アドバタイジング・ビジネス(広告業界)』のなかで同じことを言っている。
「広告の1番重要な役割は、注目のすべてを商品自体に集める事であり、その商品の説明テクニックに集めることではない」
5.簡単な言葉を選ぶ
広告で重要なのは、伝えたい内容が何であれ、相手に一瞬で理解させること。
こちらに教養があるところを見せてただ相手に感銘を与えようとするだけの、ムダな言葉は一言も許されない。
6.情報を無料提供する
興味をかき立てる方法の1つは、コピーのなかにセールストークだけでなく無料の情報を盛り込むこと。
その場合、まず無料の情報が先にあり、次にセールストークが来るようにすること。
7.スタイルコピーとセールスコピー
スタイルコピーは、華やかな言葉や凝った形容詞に消費者は心を動かされるはず、という推定に基づいて使われている。
スタイルコピーはほとんどが根拠のない主張だが、セールスコピーは証拠に基づいて主張している。
スタイルコピーとセールスコピーのどちらを使うべきか少しでも疑問に思ったら、思い出す事。
広告による宣伝効果を追跡できる企業が使っているのは、セールスコピーだ。
8.好奇心をそそる
好奇心は、コピーライターがうまく利用すれば強力な売り込みツールになる。
しかし、相手の好奇心をそそる代わりに満足させてしまうと、お客を失う事になりがちだ。
先に秘密を漏らしてしまうような広告は、手品を披露する前にトリックのタネを観客に明かしてしまう手品師のようなものだ。
9.具体的なコピーにする
テストする広告に携わる人ならだれでもこう言う。
コピーで具体的に言うことがいかに重要か、と。
例えば、
「9万7,482人がこの電化製品を購入した」
と言う方が、
「約10万台この電化製品は売れた」
と言うより説得力がある。
10.長いコピーにする
しかし、絵や写真が事実どおりに多くを物語っている場合は、短いコピーがピッタリな他愛も多く、宣伝効果が高い。
さらに、コピーの長さについて、いくつか説明しておこう。
1)短いコピー支持者はこう言う。
「こんな細かい文字を読もうなんて誰も思わない。
コピーを削って2、3段落にして、文字の大きさを18ポイントにしよう」
しかし、この主張は、正確にはこう言うべきだ。
「みんながこんな細かい文字を読んでくれるとは限らない」
これならまったくそのとおり。
全員が読んでくれるとは限らない。
でも実際には、こちらが最も読んでもらいたい人こそが、こちらの広告を読もうとしてくれる人なのだ。
そういう人こそ、商品やサービスを購入する理由をこちらが十分に説明すれば、実際に購入してくれる見込み客なのだ。
2)コピーを18ポイントにする必要はまったくない。
私たちが読んでいる雑誌や新聞の文字の大きさは7~9ポイントなのだ。
3)ここで質問。
短いコピー支持者がもっとセールストークを盛り込んで、その広告で最大限売り込むようにしてもムダなのか?
答え:ムダではないはずだ。
長いコピーと短いコピーの各支持者どちらも満足する解決策がある。
簡潔なセールスメッセージを見出しと小見出しに入れる。
詳しいメッセージをコピーに入れる。
11.実際に必要なコピー量より多めに
一般的にコピーは削れば削るほど質が上がる。
つまり、500ワードのコピーを書くスペースがあるなら、ただ500ワードのコピーを書くのではなく、まず1,000ワードのコピーを書き、それから500ワードに凝縮する。
50ワード分のスペースしかないなら、200ワードのコピーを書いてから煮詰めていく。
煮詰めれば煮詰めるほど、味わいが濃くなるのだ。
12.競合相手の得にもなるような表現は避ける
宣伝する業界を売り込むより、宣伝する特定の車種を売り込む広告のほうが、効果的だ。
もっといいのは、この両方を1つのメッセージにまとめることだ。
13.通販の手法をダイレクトメールに応用する
ダイレクトメールの課題は、通販広告の課題とほぼ同じだからだ。
豆知識)ダイレクトメールを送る場合は、数回に分けて色々な情報を送る。
その方がお客様と接点を持つ事が出来るチャンスが多くなるからだ。
1つめのダイレクトメールが即ゴミ箱にいっても次のチャンスがある。
14.誇大コピーか控え目コピーか
現在の広告は、控え目な表現を使う傾向にある。
しかも、ときにはそのほうが誇大コピーより宣伝効果が高いこともある。
脚色して、
「実際よりよく見せようとしているな。」
と相手が感じれば、その広告全体の信頼性が弱まってしまう。
15.小手先のキャッチフレーズは避ける
明らかに事実ではないスローガンやキャッチフレーズは避ける事。
たとえば、ミントキャンディのあるメーカーが
「みんなのお口に」
とキャッチフレーズで謳った。
これはどう考えても事実ではない。
このキャンディをみんなが口にしているわけがないことは誰にでもわかる。
単なる小手先の表現だ。
ここまでひねらなくても、実際の売り文句、たとえば
「おいしさ長持ち」
としたほうが効果的だ。
16.他の人の意見を聞く
たいていの人の意見のやっかいなところは、甘すぎる点だ。
この問題を解決する方法の一つは、コピーでも見出しでも1案だけを見せるのではなく、2案見せて、どちらのほうがいいと思うかを尋ねる。
そうすれば相手は一方を褒め、もう一方の悪いところを言ってくれる。
17.「担当者がお伺いします」と書かない
「担当者から連絡する」と書かないこと。書くとクーポン変装率が少なくとも75%下がってしまう。
18.通販カタログのセールスコピーを研究する
大手通販カタログなら、思いつく限りのあらゆる製品の優れたセールスコピーが見つかるはずだ。
19.どの広告もすべてを説明する
言い古されてはいるが、いまもためになる鉄則、
「どの広告でも、説明するのはこれが最初で最後であるかのように書くこと」。
相手はその製品を以前何かの広告で見たことがあるはず、とあてにしてはいけない。
あらかじめセールスポイントを絞って、その広告を不利な立場に立たせる必要はどこにもない。
どの広告にも、重要なセールスポイントすべてを盛り込むこと。
20.相手の行動を強く促す
通販広告は最後に必ず、
「いますぐお申し込みを」
と強く促して締めくくっている。
よほどの反対理由がない限り、一般の広告の最後も同じように促した方がいい。
せっかく見出しで相手の心をつかみ、コピーで興味をそそったのだ。
そこで宙ぶらりんのまま放っておてはいけない。
次に何をすべきかを伝える事。
「価格上昇中」「在庫わずか」など、いますぐ行動すべき明確な理由を伝えられれば、いっそう効果的だ。
第12章 誰もがぶつかる問題を避ける方法
演出効果のまとめ
今度面白くない商品のコピーを書くときは、演出してみよう。
そして、覚えておいてほしいのは、多くの商品は、コピーライターが命を吹き込まなければ面白みがないということだ。
扱いにくいテーマ
扱いにくいテーマの見出しれをそれぞれ上げる。
テーマ:生命保険に頭金を払い込めば、すぐに遺産を増やすことにつながる
今日、あなたの遺産を1万ドル増やしませんか
新しいシャツ1枚の値段で
テーマ:車のブレーキ修理サービスの価値の重要性を考えれば割安だということを伝える
お子さんの命は99ドルの価値がありますか?
具体的に謳うと新聞・雑誌から掲載を断られるし、読者にも信じてもらえない場合は、疑問形にするのが効果的。
テーマ:化粧品メーカーの新商品、若さの源を発見したとき
永遠の若さの秘密をついに発見?
控え目な表現にすることで、信頼性が高まり、良い結果に繋がることがある。
テーマ:どうすれば株取引で儲けられるか
なぜ、一部の人たちだけが株で必ず儲けているのか
第14章 最大数のお客にアピールする方法
売り込み効果につながる3要素
よく知られていながら無視されることも少なくない、売込みにつながる3つの要素がある。
1.短い段落
2.短い分
3.短くてわかりやすい言葉
ぎっしり詰まった文字の固まりを目にするほど、うんざりすることはない。
長い段落は短い段落に分けること。
短い段落なら読もうという気になる。
1文が長いと、面倒な頭の体操を読む人に強いることになる。
読みやすいコピーにする
お手紙を差し上げましたのは、『月刊○○』誌の読者分析により広告主様にご提供出来るターゲット市場をご説明させていただくためです。
読みながらおそらく少しつかえたと思う。
これを下記の様に直すとどうだろうか。
お手紙を差し上げましたのは、『月刊○○』誌に広告をご出稿いただくことで到達可能な読者層をご案内するためです。
広告のコピーは、文法的に正しく、句読点が適切であることはもちろん、スムーズに速く読めるものでなければならない。
前に戻ってある部分を読み返さないといけないようではダメだ。
読む人が句読点や記号に十分気をつけなくてはいけないようなコピーを書いてはいけない。
複雑な句読点を要する分は避けること。
スタイル重視のコピーの弱点
スタイル重視のコピーの弱点は、次の見出しを見ればわかる。
どの見出しも言いたいことは同じだ。
ただし、3番目の見出しが内容が1番はっきりと伝わる。
カッコつけずに、シンプルな言葉で書いているからだ。
1.年収5万ドルの可能性を秘めた年収2万5,000ドルの方へ
2.達成してみれば、年収2万5,000ドルも1段階にすぎません
3.年収5万ドル稼ぎたいとお考えの、年収2万5,000ドルの方へ
広告の売込み力をアップするには、コピーは凝ったものではなく、わかりやすいものにすること。
すべての人に分かりやすいコピーにしても、インテリがそれを不快に思う事はない。
説明を細くする
デパートの責任者が家庭用品の広告を準備した。
その広告を出す前に、あるベテランのコピーライターに見せて意見を求めた。
そのコピーの冒頭は、こんな文だった。
ほとんどの商品は当店限定です。
コピーライターはこの文に言葉を加えて次のように変更した。
ほとんどの商品は当店限定です。
他では手に入りません。
コピーをさらに読み進むと、次の文があった。
全品保証つきです。
コピーライターはこの文を次のように詳しく説明した。
全品保証つきです。
1年以内に以上が発生した場合、新品と公開いたします。
返金をご希望の場合も応じます。
このコピーライターはこう言った。
「限定とか保証といった言葉は広告であまりにもよく使われてきたので、元の威力を失っています。
それに、この言葉の本当の意味が実は分かっていない人も多いんです。
だから、かみ砕いて説明したほうがいいのです。」
わかりやすく伝える
コピーを書くのに効果的な案を紹介しよう。
まず次の文章を読んでほしい。
この章で説明するのは、甲故国をわかりやすくする方法です。
平均的な人が理解できるのはわかりやすい広告だけです。
次は、この文章を少し変えたもの。
この章で説明するのは、広告をわかりやすくする方法です。
わかりやすい広告だけが、平均的な人に理解してもらえるのです。
後者の方が少しだけわかりやすい理由は、読んだ人の頭の中で、最初の文が「わかりやすい広告」のことで終わり、その言葉ですぐに次の文を始めているからだ。
広告のコピーを書くときは、小学6年生の国語の教科書に出てくるような言葉を使うこと。
効果的な見出しをさらに効果的にする方法
たいていの場合、アプローチが直接的になるほど、効果も大きくなる。
あるガソリン添加剤の2種類の広告を例に取ろう。
1つ目の見出しは、
10ガロンにつき1ガロンのガソリン調節になります
だった。
この見出しの広告で、商品サンプルにたくさんの応募があった。
その後、もっと限定的なアプローチを試すことになった。
「ドライバーのみなさん」という言葉を、見出しの前につけ加えたのだ。
ドラバーのみなさん!10ガロンにつき1ガロンのガソリン節約になります
その結果、1つ目より20%もサンプル請求が多かったのだ。
次に挙げるのは、そうした変更で成功した例。
花粉症
→花粉症を断つ
15年後に退職
→どうすれば40歳の方が15年後に退職できるか
涼しくぐっすり眠れる方法
→涼しくぐっすり眠れる方法ー熱帯夜でも平気
すばやく簡単にきちんと車を修理する方法
→すばやく簡単にきちんと車を直す方法
第15章 どんなレイアウトとビジュアルが1番注目されるか
売込みが第1!芸術性は二の次
「アメリカを代表する偉大な小説」を書きたいと思っているコピーライターがコピーを書くときには「文学性」を捨てなければならないのと同じように、アートディレクターも広告をデザインするときには「芸術性」を捨てなければならない。
少なくとも、二の次なのだ。
講演のベンチはなぜオレンジ色ではく緑に塗られているのか。
緑の方が美的だから、周りに溶け込む色だから。
しかし、周りに溶け込むような広告を広告主が望むだろうか。
メーカーが雑誌のカラーページ広告に4万ドルも払って、ただ読者の美的感覚を逆なでしないようにと願うだろうか。
とんでもない。
相手を揺さぶり、クギづけにしたいのだ。
刺激して、行動に駆り立てるために。
書体の効果的な使い方
見出しで使う書体を選ぶ時は、相手の注意を引くような、大きくて迫力のある書体にすること。
コピーの書体を選ぶ時は、何といっても読みやすさ重視だ。
1番読みやすい書体とは、1番よく読まれている書体だ。
つまりコピーは、新聞や雑誌の記事で使われている定番の書体にすること。
ゴテゴテした書体は避ける。
スクリプト書体も避ける。
イタリックの多様も禁物だ。
細すぎたり太すぎたりする書体もよくない。
メッセージそのものより文字事態に目が行ってしまうような書体もすべてダメだ。
書体で雰囲気を出そうとしないこと。
広告のレイアウトを考える時は、見出しを十分に太く大きくする。
どんなに大雑把にしか見ない人でも、嫌でも目に留まる様にするためだ。
見出しが長い場合は、重要な言葉だけを大文字にしたり、特に大きくしたりする。
見出しのなかの重要な言葉を目立たせる
長い見出しをレイアウトするとき、すべての言葉を大きい文字で組むスペースがない場合もある。
そういう場合は、見出しの一部だけを大きくする方法がある。
長い見出しを書くときは、重要なフレーズが極太や特大サイズ扱いにできるように考えるといい。
可能であれば、その重要なフレーズが見出しの頭に来るようにできればなおいい。
注目を集めるビジュアル
数多くの注目調査が行われ、そのなかで、様々な新聞・雑誌広告のうちどれに注目したかを尋ねる項目がある。
その結果、注目を集めるのに特に効果的なタイプのビジュアルがリストアップできるようになった。
例を挙げよう。
・花嫁
・赤ちゃん
・動物
・有名人
・奇抜な格好をした人(仮装大会で着る服など)
・変わった状況の人(眼帯をつけた男性など)
・ストーリー性のあるシーン(母親の防止をかぶっている小さな女の子など)
・現実離れしたシーン(女の子を抱えて急流を渡ろうとする男性など)
・大惨事のシーン(自動車事故など)
・報道写真(宇宙船の打ち上げなど)
・タイムリーなもの(クリスマスシーズンのサンタクロース、シンカーン誕生日のリンカーン像など)
注目調査で興味深いことが明らかになった。
ほとんどの商品で、男性は男性の、女性は女性のビジュアルがある広告を見る傾向があるのだ。
どうやらビジュアルが目印の役割をはたしているようだ。
一般に人は、男性のビジュアルがある広告は男性向け商品のもの、女性のビジュアルが使われている広告は女性向け商品のものだと解釈する。
注目調査が広く行われる前は、男性読者を引き付けるには水着姿の美女でも入れておけばいい、と考える広告主もいた。
しかしこの方法ではどうも、ターゲットとは違う人の目を引いたり、勘違いさせたりするようだ。
こうしたビジュアルは、その美女への欲望はかき立てるかもしれないが、宣伝している商品がほしくなる、ということにはつながらない。
売りにつながるビジュアル
注目調査で明らかになった情報を活用する時、覚えておいた方がいいのは、あるビジュアルがよく注目されるからといって、必ず塩大きく売りに結びつくわけではない、ということだ。
売りにつなげるには、そのビジュアルが広告の商品と関係していなければならない。
広告の効果テストに基づいた、売りにつながる代表的な写真には次の様な例がある。
1.その商品の写真。車の広告なら車の写真を見せる。
2.その商品使用例の写真。たとえば、買ったばかりの園芸用具を使っている女性の写真。
3.その商品を使って得られるものの写真。自分が焼いたケーキにうっとりする女性、自分で作ったプリンを味わっている女性、ずっとほしかった上質のコートを着ている女性など。
4.夢を実現した時の写真。たとえば、卒業証書を受け取る少年の写真。
5.詳細拡大写真。たとえば虫眼鏡で、新開発のペン先を拡大しているところ。
6.ドラマチックな写真。たとえば、記憶術講座の広告に目隠しをした男性の写真があった。見出しは「あなたもできる驚くべき記憶の離れ技」
なぜ、写真が効果的なのか
ビジュアルのテーマを決めたら、たいていは、イラストより写真を使う方が効果的だ。
信憑性の点で、写真ほど効果的なものはない。
あえて線画やイラストを使うなら、できるだけ写真風の、本物そっくりにしよう。
写真で真に迫った情報が広告に加わる。
写真には説得力がある。
写真が証拠なのだ。
人物、商品、リゾート地の写真を見る時、自分はいま実物そっくりのものを見ている、とだれもが考える。
写真は細部が実に多くを語っている。
つまり、表情や周囲の雰囲気のちょっとしたことが伝わるのだ。
写真を一目見れば、実物を見るのに次いでよくわかる。
広告に人の顔を入れる理由
なぜ、通販の広告のビジュアルには、男性や女性の顔がよく使われるのか。
こうしたビジュアルは他のビジュアルより売上アップにつながることが多いからだ。
人の顔は目に留まりやすい。
特に、写真のモデルがこちらをまっすぐに見ていて、かつその商品やサービスに関係がある場合、たとえば宣伝商品の利用者や、通信講座の修了生の写真だとなおさらだ。
こちらをじっと見ている人の写真は、石鹸1個や風景の写真よりもすばやく目に留まりやすい。
広告のビジュアルに人の顔を使うといい、なるほどと思い得る理由は他にもある。
証言広告の場合を考えてみよう。
証言している人の顔写真を載せれば、読む人はその内容により信頼感を覚える。
言っていることは本当に違いない、そうでなければ自分の顔写真を使わせるはずがない、と思うからだ。
さらに、証言を読みながらその証言者本人の顔をときどき目にすることになる。
つまり、どんな人がそう言っているのかがわかるわけだ。
これで読み手の関心は高まるし、言っている内容により親近感を抱いてもらえる。
第18章 広告をテストする17の方法
1.書いてすぐのコピーを翌日まで寝かせる方法
2.誰かに声に出してコピーを読んでもらう方法
相手が声に出してコピーを読んでいる間は、紙と鉛筆を持ってメモを取ること。
もし文の途中でつかえたらこちらのせいだと考える。
相手が悪いのではない。
その文を書き直すべきだ。
ある内容が相手の腑に落ちないようなら、他の人たちにもわかりにくいと思った方がいい。
その内容は分かりやすく書きなおすか、さもなければ削るべきだ。
3.取材してオピニオンテストをする方法
オピニオンテストは、広告案数点や見出し案のリスト、あるいはコピーのサンプルを他の人に見せて、「どれが1番好き?」「1番読みたくなる広告は?」などと尋ねるテストだ。
実験で、尋ね方は重要でないことが分かっている。
重要なのは、相手に少なくとも2つの選択肢を用意すること。
なぜなら、たいていの人はこちらを喜ばせようとして好意的に反応するからだ。
オピニオンテストをどれほど精密に行っても、間違いは起こりやすい事を忘れないように。
オピニオンテストはあくまでも個人的意見に基づくもの。